マユコ助産所のブログをお読みいただきありがとうございます。
母乳育児について、やってみたいなと思えるようなお話をしたいと思います。

母乳育児について考えるとき、人工乳と母乳を比べて「どちらにどんなメリットがあるか」と考えることがあります。

でも私は、日々お母さんと赤ちゃんに関わっていると、母乳育児はもっとシンプルで、自然なところにあるように感じます。

目の前の赤ちゃんを「可愛い」と思ったら、抱きしめたくなる。
おっぱいをあげたくなる。

目の前に美味しそうなものがあったら「食べてみたい」と思うように、赤ちゃんとお母さんの間に自然に生まれる営みのひとつが、授乳なのではないでしょうか。

赤ちゃんがおっぱいを飲みながら、お母さんと一緒に眠ってしまう。

私はそんな姿を見るたびに、なんて美しいんだろうと思います。

長い人生の中でも、こんな時間を過ごせるのはほんのわずかです。

私は日頃の活動の中で、一人の赤ちゃんとお母さんに長く関わらせてもらうことがあります。

生まれたばかりの頃から、その子が少しずつ成長していく姿をそばで見ていると、おっぱいを吸うという、とても地味でシンプルな行為の中に、たくさんのものがあることを教えてもらいます。

泣いたらおっぱいをもらう。
お母さんは赤ちゃんの声を聞いて抱き上げる。

それを一日に何度も、何か月も、時には何年も繰り返していきます。

授乳は「栄養を与える時間」であると同時に、触れる、見つめる、匂いを感じる、安心する、応えてもらう——そんな母子のコミュニケーションが積み重なる時間でもあります。

搾乳した母乳を哺乳瓶であげていたお母さんから、

「搾乳は義務のように感じることもあった。でも赤ちゃんに直接吸ってもらうと、幸せな気持ちになった」

と聞くことがあります。

そして卒乳の時には、

「もうおっぱいをあげられないと思うと寂しい」

と話すお母さんもいます。

それだけたくさんの時間を、赤ちゃんと一緒に過ごしてきたのだと思います。

もちろん、母乳だけが親子のつながりをつくるものではありません。

ミルクが必要な赤ちゃんもいます。母乳をあげたくても難しいお母さんもいます。それぞれの家族に、それぞれの事情と願いがあります。

だから私は、「母乳でなければ」と言いたいのではありません。

ただ、母乳をあげたいと思っているお母さんには、その願いを簡単に諦めなくてもいい支援を届けたい。

出産してから困って相談するのではなく、妊娠中から準備できることがあります。

そして産後だけでなく、職場復帰した後も、その人が望む限り授乳を続けられる方法を一緒に考えていきたいと思っています。

母乳育児を通して私が見てきたのは、母乳そのものだけではありません。

赤ちゃんに触れ、求められ、応えながら、少しずつ「この子は大丈夫」「私も大丈夫」と感じていくお母さんたちの姿です。

お母さんと赤ちゃんから教えてもらったこの時間の尊さを、私の中だけに留めず、必要としている誰かに届けたいと思い、書き残しました。